やめたくてもやめられない「薬物依存症」とは

「薬物依存症」とは、薬物の乱用を繰り返すことで、自分の意思では薬物の使用が止められなくなっている状態を指します。この薬物依存は身体的依存と精神的依存の2つに大別されます。

薬物に身体的に依存した場合には、薬物が身体から抜けるときに起こるきつい離脱症状を避けるために、薬物をどうにかして手にしようとして行動してしまうことが多いです。

この行動を「薬物探索行動」と言います。薬物への依存が強いほど、なんとしても薬物を得ようとする行動が見られるようになります。

薬物の精神的依存は身体的な依存とは異なり、離脱症状の苦しみは伴わないものの、「薬物が欲しい」という強い欲求に苛まれます。

精神的依存という状態は、脳の障害が出ている状態となるため、自制が効かなくなってしまうのです。

「薬物依存症」の具体的な症状とは

「薬物依存症の具体的な症状」と言われて最初に思い浮かぶのは、やはり健康状態ではないでしょうか?シンナーを吸うと歯がボロボロになるという話は、聞いたことがある方も多いと思います。

また薬物を摂取することで、肝臓や腎臓の機能に障害が出ることもあれば、生殖機能に悪影響を及ぼす場合もあります。

健康状態の悪化のほかにも、薬物を使用したことで見える幻覚や妄想により、薬物乱用者本人の行動や性格を狂暴化させることもあるのです。

「薬物依存症」が進行するとどうなる?

薬物依存症が進行すると、次第に薬物の使用量がコントロールできなくなっていき、頻繁に薬物に手を出してしまうようになります。

健康被害はもちろん、仕事や対人関係にも影響が及びます。薬物乱用者の中には「仕事をするときに集中力を高めるために薬物を使用する」という人も少なからず存在します。

たしかに薬物摂取時にはまったく疲労感を覚えず、仕事は捗るのかもしれません。しかし薬物の効果が切れた時、すさまじい倦怠感や疲労感に襲われてしまうため、また薬物を摂取するという悪循環に陥ってしまいます。

薬物に頼って身体を酷使すると、いずれ限界が訪れてしまい、仕事の効率は下がっていくことになります。そして最終的には、失業してしまうケースも少なくはありません。

学生においても同じことが言えます。勉学とバイトの両立のためなどといった理由で、薬物に手を出してしまい、乱用し続けて身体を酷使した結果、退学にまで追い込まれてしまうケースも少なくありません。

このように、薬物乱用により自滅してしまうケースも多いのですが、薬物依存者は顔つきや性格がどんどん変化していき、外部からの薬物使用の報告などによって、会社や学校側に薬物の使用がバレて処分を下されるというケースも同様に多いのです。

また薬物を乱用すると、性格が乱暴になる人は多いため、対人トラブルも自然に多くなり、友人関係や職場の人間関係にヒビが入る恐れもあります。

薬物依存者は、どんな手を使ってでも薬物を入手しようとすることは冒頭でもお話しました。薬物依存が進行すると、薬物を入手するために借金をすることや、強盗といった犯罪に走ってしまう、などの可能性も高くなります。

薬物依存症が進行すると、結果として薬物乱用者自身の人望や、社会的信頼を大きく失墜させてしまうことになるとも言えるでしょう。

薬物への依存が強いほど治療に時間がかかる

薬物依存症の回復には「(1)身体の回復」「(2)脳の回復」「(3)心の回復」「(4)人間関係の回復」
の4つの段階を踏む必要があります。薬物依存は、自然に回復できるものではありません。それぞれの段階に合わせて、治療する機関も変更する必要が出てきます。

回復治療の初期にあたる「(1)身体の回復」と「(2)脳の回復」の段階では、医療機関を利用することが推奨されます。

医療機関での治療においては、身体の健康状態を取り戻すために、健康的で規則正しい生活をすることになります。その結果、徐々に薬物による幻覚や妄想に悩まされる頻度も減少し、次第に快方へと向かうことになります。

もちろん入院している期間は、症状は徐々に改善していきます。本人や周囲も「治った」と思ってしまいがちです。

しかし薬物乱用は、脳に刻みこまれてしまっているので、医療機関での処置後にも、ちょっとしたきっかけで薬物の乱用を再開してしまう危険性は非常に高いのです。

そのような事態を避けるためにも、「(3)心の回復」「(4)人間関係の回復」の段階で、「自助活動」に積極的に参加することもとても重要となります。

「自助活動」とは、薬物依存症から立ち直ろうとする人たち同士で助け合うもののことで、リハビリテーションのような機能を果たしています。

身体的・精神的依存を回復することももちろん大切なのですが、薬物乱用に伴って変化した生活習慣や思考を正し、交友関係を見つめなおすことで、薬物依存からの脱却に励むということが目的となります。

薬物依存症から回復するのは決して簡単なことではありません。薬物の乱用期間が長ければ長いほど、薬物からの脱却には長い時間を要するということは、想像に難くないでしょう。

参考:厚生労働省『ご家族の薬物問題でお困りの方へ』