病院での薬物検査の方法や費用、検査結果の出る期間は

よく芸能人逮捕などのニュースで『薬物検査の結果、陽性』などというのを目にします。TVの影響からかこの薬物検査は、警察または麻薬取締官により行われるものだという認識を持たれていらっしゃるのかもしれません。

では警察などではなく、病院で薬物検査は受けられるのでしょうか?その方法や費用、検査結果が出るまでにどのくらいの期間が必要なのかについて解説致します。

薬物検査とは

ここで言う薬物検査とは、違法薬物の使用の有無を調べる検査のことを指しており、薬物の使用期間や使用量については除外致します。

一般的に薬物検査は、対象者の尿を採取して行います。尿を検体とする理由として、以下のことが挙げられます。

例えばメタンフェタミン(ヒロポン)の場合、血液中において成分の検出される期間がわずか24~36時間ほどなのに対して、尿中には3~6日ほど成分が留まるものとされます。

ヘロインでは、血液中における検出可能な時間は、最大でもわずか12時間ほどにとどまるのに対して、尿中では3~4日もの間成分が検出されるとされています。

薬物の使用直後に検査をすることは困難であり、尿を検体とすることがより確実だと考えられます。また血液を採取することは、心的抵抗が強いこともあり、尿検査を行うことが一般的となっています。

病院での薬物検査の対象となる薬物は、覚せい剤取締法で規制されているアンフェタミン、メタンフェタミン(ヒロポン)などの覚せい剤、麻薬及び向精神薬取締法で規制されているモルヒネ、コカインなどの麻薬やMDMAなどの幻覚剤、大麻・マリファナなどの薬物となっています。

病院での薬物検査の方法

病院での薬物検査においては、救命救急センターなどでの救命時における緊急の原因特定のためのものと、それ以外のものとがあります。

救命救急センターでは、急性薬物中毒の疑いがある場合、高速液クロマトグラフ法やガスクロマトグラフ法などの機器による精密分析や、その他の機器による分析を行います。

分析の結果薬物中毒と診断された場合には、速やかに治療が行われます。一方、尿を採取して行う薬物検査は簡易定性分析で、尿中乱用薬物スクリーニングキットを用いて行われます。

病院での薬物検査の費用

病院の中でも、救命救急センターで行われる精密分析やその他の分析は、保険診療に該当します。

精密分析は、急性薬毒物中毒加算1―5,000点(3割負担の場合は自己負担額15,000円)が、それ以外の検査は急性薬毒物中毒加算2―350点(3割負担の場合は自己負担額1,050円)が適用されることになります。

その他尿中乱用薬物スクリーニングキットを用いた薬物検査については、保険診療対象外となります。病院で行われる薬物検査ということから、保険診療の対象になると思われがちですが、例外となってしまうため、注意が必要です。

尿中乱用薬物スクリーニングキットによる薬物検査の費用は、患者もしくは病院の負担となります。使用されるキットには様々な種類のものがありますが、費用は1,200円~4,000円程度です。

検査結果が出るまでに要する期間

病院で薬物検査が実施される場合、簡易検査では結果は5~15分程度で出ます。ただし簡易検査の場合、市販薬の服用などにより偽陽性となることもあり、注意が必要です。

必要に応じ、分析は専門の外部検査機関へ委託されます。検査機関から病院へ結果が報告されるまで、3~4日ほど必要となります。

また、確認検査(対象となる成分それぞれについて検査をし、陰性か陽性かを確定する検査)の実施時には5~6日要します。

病院で薬物検査が行われる場合とは

基本的に、病院で薬物検査が行われるのは緊急性の高い場合が多く、意識不明で救命救急センターに運ばれて来た患者に、急性薬物中毒の疑いがある場合などです。

急性薬物中毒の患者が救命救急センターに運ばれることは、実はまれな事ではなく、全体の約1割程度にものぼります。

他に対応可能な病院は限られているものの、尿中乱用薬物スクリーニングキットを用いた薬物検査を受けられる病院もあります。

一般的に、アルコール・薬物依存症専門外来のある病院では、薬物検査や薬物依存症の治療を受けられることになっています。

ただし一般の精神科病院または総合病院では、薬物検査は受けられないことも多いので、注意しましょう。

近年では、薬物を使用していないという証明のために、薬物検査を受ける必要がある場合も増えて来ているので、そのような方々に対応した病院も出て来ています。

病院で薬物検査が陽性だった場合は通報される?

病院で薬物検査を受け、結果が陽性となってしまった場合、警察に通報されるのでしょうか?これは守秘義務や個人情報保護の問題、または法律上の問題があるため、確実な答えはありません。

ただし、麻薬に陽性が出た場合に関しては、麻薬及び向精神薬取締法の中に、医師に届け出義務があることが明記されています。

この場合医師は、都道府県知事への届け出が義務付けられているのですが、警察への通報は義務ではありません。また覚せい剤取締法では、医師の届け出義務についての記載はありません。

以上の事から、病院で薬物検査を受け、結果が陽性であったとしても、必ずしも警察へ通報される訳ではないということが言えるでしょう。

第五章 麻薬中毒者に対する措置等

(医師の届出等)

第五十八条の二 医師は、診察の結果受診者が麻薬中毒者であると診断したときは、すみやかに、その者の氏名、住所、年齢、性別その他厚生労働省令で定める事項をその者の居住地(居住地がないか、又は居住地が明らかでない者については、現在地とする。以下この章において同じ。)の都道府県知事に届け出なければならない。

引用:麻薬及び向精神薬取締法―厚生労働省 | e-Gov法令検索