毛髪検査の検査可能期間について

2009年夏、衝撃的なニュースが世間を走りました。歌手・女優など幅広い分野で活躍中だった酒井法子(当時38歳)が、覚せい剤使用の罪で逮捕されたというものでした。
この事件は、2009年8月3日、酒井法子の夫が覚せい剤所持の罪により路上で逮捕されたことが発端となっています。
その後、酒井法子は一時的に逃亡を図ったものの、8月8日、自ら警視庁へ出頭し、そのまま逮捕されました。

酒井法子は、覚せい剤の使用から逮捕されるまで数日間のブランクがあったことから、尿検査では陰性反応を示しましたが、毛髪検査を実施したところ陽性反応を示し、公判においてはそれが決定的証拠となりました。
酒井法子一連の事件は、薬物鑑定における毛髪検査の有用性を証明するものとなりました。

毛髪検査の歴史

毛髪検査の歴史は比較的新しく、1954年に、モルモットの毛髪から薬物成分の検出に成功したことが始まりと言われております。
それから科学技術の進歩により、現在では高い精度で検出することができるようになりました。
日本では、1984年に1本の毛髪からメタンフェタミン及びアンフェタミンを検出することに成功しています。
 
薬物分析に関しては、血液や尿などからの検査が一般的な方法となっております。しかし、これらの検査方法は、被験者が薬毒物を摂取したか否化を示すことができるのはわずか数日間しかないと言われています。
一方毛髪検査は、比較的長期に渡る使用履歴の情報を得ることができます。

毛髪検査の検査可能期間

毛髪検査は、毛髪部分の薬毒濃度を分析することにより薬物使用の履歴を検知することが可能で、これは、体内に取り込まれた薬毒物が血液に吸収され、毛細血管を通じて毛根部分に移行するという人体作用を利用したものです。
毛髪の伸長速度については、性別、人種、年齢などにより多少の差はありますが、1ヶ月につき約1cm伸びると言われているため、毛根から1cm刻みで毛髪を切断して検査することにより、被検者の薬毒物使用時期について推測することが可能です。

過去の例では、薬物使用から1時間後に死亡した男性の毛髪を検査した結果、男性が薬8ヶ月前から常習的に薬物を乱用していたことが判明しました。
別の例では、妊娠中の母親が薬物を使用したという事案において、胎児出生後に毛髪検査を実施したところ、出生の約半年前から薬物を使用していたということが判明しました。

このように、毛髪検査は、月や年単位で薬毒物使用履歴を分析することができます。

毛髪検査の検査結果は確実ではない

毛髪検査は確かに使用を証明するものではありますが、使用から検査までの期間が長ければ長いほど、使用日時の断定が困難となります。
仮に薬物使用者が「〇月△日に覚せい剤を使用しました」と供述していても、毛髪検査の結果だけでは供述の裏付けが取れないと主張する弁護士もいます。

今後の毛髪検査をとりまく環境は、科学技術の進歩により大きく変化していくものと考えられます。