覚せい剤取締法について(覚せい剤の効果、法律、逮捕の刑罰など)

近年、芸能人の違法薬物による逮捕が相次いでいます。中でも覚せい剤は歴史も古い違法薬物であり、日本で最も乱用されている薬物でもあります。

覚せい剤は、覚せい剤取締法という法律によって規制されており、罰則を犯すと懲役や罰金が科せられます。

覚せい剤とはどのようなものなのか、また覚せい剤取締法とはどのような法律なのかを見ていきましょう。

覚せい剤とは

覚せい剤とは、アンフェタミン(フェニルアミノプロパン)、メタンフェタミン(フェニルメチルアミノプロパン)及びその塩類のことです。

現在日本で乱用されている覚せい剤はメタンフェタミンであり、これは元々日本で喘息の薬として研究されたものを基にして、ドイツで開発されました。

ドイツ軍パイロットの眠気覚ましとして使用されていたものが日本に伝わり、昭和16年(1941年)ヒロポンという商品名で販売されたのです。

戦争の際に、恐怖心を無くして気分を高めたり、軍需工場で寝ずに働かせたりする目的で使用されたのが主でした。

しかし戦後大量の在庫が一般に出回り、価格も安く宣伝も多かったため、爆発的な流行が起こり乱用の始まりとなったのです。

覚せい剤の成分は天然には存在せず、麻黄まおうから抽出されるエフェドリンという物質を主成分として、化学合成にて製造されます。

エフェドリンには咳止めの作用があります。白色または無色透明の粉状であり、水に溶けやすく、舐めると少し苦みを感じます。

かつては注射で体内へ取り込むことが主流でしたが、錠剤、粉末、加熱吸引などより簡単な方法へと変化してきたことで、気軽に手を出してしまえるようなものになってしまいました。

とはいえ、現在では誰にでも簡単に手に入るものではないため、暴力団などの資金源となっていることも多いのが現状であり、問題視されています。

メタンフェタミンはアンフェタミンに比べより作用が強く、脳の中枢神経系を刺激し強い興奮作用を持ちます。また、交感神経に対しても刺激作用を持つものでもあります。

覚せい剤を使用した場合、強い依存に陥るだけでなく急性中毒の症状が出ることもあり、意識障害などを起こし、命が脅かされることもあり得るのです。

覚せい剤の効果

覚せい剤は、使用するとすぐに独特の強い快感を覚えます。使用者は「クラクラするような快感」などと表現することが多いです。

強烈な興奮や多幸感は使用後30分程度で、後は強い覚醒状態が長く続きます。個人差はありますが、数時間から長ければ12時間程度は覚醒状態が続くこともあります。

覚醒状態とは中枢神経が興奮している状態ですが、その強い覚醒効果には、それ以上に強烈な副作用があります。効果が切れると今度は、激しい疲労感や焦燥感、強い抑うつ感がやってくるのです。

この状態はかなり辛いもので、再び疲れが取れて、多幸感に包まれた覚醒状態を求めて、また覚せい剤に手を出してしまいます。

覚せい剤には非常に強い依存性があります。また常用することにより、攻撃性が増し、幻覚や妄想などの精神症状までもが現れて来ます。

覚せい剤依存症の治療は長期に渡る上に、一旦覚せい剤から離れられたとしても、何らかのきっかけで再び手を出してしまうことも多く、再犯率の高さが社会問題ともなっています。

覚醒状態の間は、何も食べなくても元気で活動的でいられたり、眠気も感じなかったりします。

そのため、メタンフェタミンはダイエットのための痩せ薬として、または受験勉強で徹夜をするための薬として、広く使用されたこともありました。

「すぐに気持ち良くなり全く疲れない」と、精力増強剤としての使用も目立ちました。特に戦後の日本では時代背景もあり、大流行を見せ、その結果覚せい剤取締法で規制されるようになったのです。

覚せい剤取締法

覚せい剤取締法は、日本国内での覚せい剤の乱用を受けて、昭和26年(1951年)に定められた法律です。覚せい剤取締法では、覚せい剤だけではなく、その原料も含めて細かく禁止または制限されています。

第一章 総則

(この法律の目的)

第一条 この法律は、覚せい剤の濫用による保健衛生上の危害を防止するため、覚せい剤及び覚せい剤原料の輸入、輸出、所持、製造、譲渡、譲受及び使用に関して必要な取締を行うことを目的とする。

引用:覚せい剤取締法―厚生労働省

第三章 禁止及び制限

(輸入及び輸出の禁止)

第十三条 何人も、覚せい剤を輸入し、又は輸出してはならない。

(昭三〇法一七一・一部改正)

(所持の禁止)

第十四条 覚せい剤製造業者、覚せい剤施用機関の開設者及び管理者、覚せい剤施用機関において診療に従事する医師、覚せい剤研究者並びに覚せい剤施用機関において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者から施用のため交付を受けた者の外は、何人も、覚せい剤を所持してはならない。

 次の各号のいずれかに該当する場合には、前項の規定は適用しない。

 覚せい剤製造業者、覚せい剤施用機関の管理者、覚せい剤施用機関において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者の業務上の補助者がその業務のために覚せい剤を所持する場合

 覚せい剤製造業者が覚せい剤施用機関若しくは覚せい剤研究者に覚せい剤を譲り渡し、又は覚せい剤の保管換をする場合において、郵便若しくは民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第二項に規定する信書便(第二十四条第五項及び第三十条の七第十号において「信書便」という。)又は物の運送の業務に従事する者がその業務を行う必要上覚せい剤を所持する場合

 覚せい剤施用機関において診療に従事する医師から施用のため交付を受ける者の看護に当る者がその者のために覚せい剤を所持する場合

 法令に基いてする行為につき覚せい剤を所持する場合

(昭二九法一七七・平一四法一〇〇・一部改正)

(製造の禁止及び制限)

第十五条 覚せい剤製造業者がその業務の目的のために製造する場合及び覚せい剤研究者が厚生労働大臣の許可を受けて研究のために製造する場合の外は、何人も、覚せい剤を製造してはならない。

 覚せい剤研究者は、前項の規定により覚せい剤の製造の許可を受けようとするときは、厚生労働省令の定めるところにより、その研究所の所在地の都道府県知事を経て厚生労働大臣に申請書を出さなければならない。

 厚生労働大臣は、毎年一月から三月まで、四月から六月まで、七月から九月まで及び十月から十二月までの期間ごとに、各覚せい剤製造業者の製造数量を定めることができる。

 覚せい剤製造業者は、前項の規定により厚生労働大臣が定めた数量をこえて、覚せい剤を製造してはならない。

(昭二九法一七七・平一一法八七・平一一法一六〇・一部改正)

(覚せい剤施用機関の管理者)

第十六条 覚せい剤施用機関において施用する覚せい剤の譲受に関する事務及び覚せい剤施用機関において譲り受けた覚せい剤の管理は、当該施用機関の管理者がしなければならない。

 覚せい剤施用機関の開設者は、当該施用機関の管理者に覚せい剤の譲受に関する事務及び譲り受けた覚せい剤の管理をさせなければならない。

(譲渡及び譲受の制限及び禁止)

第十七条 覚せい剤製造業者は、その製造した覚せい剤を覚せい剤施用機関及び覚せい剤研究者以外の者に譲り渡してはならない。

 覚せい剤施用機関又は覚せい剤研究者は、覚せい剤製造業者以外の者から覚せい剤を譲り受けてはならない。

 前二項の場合及び覚せい剤施用機関において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者が覚せい剤を施用のため交付する場合の外は、何人も、覚せい剤を譲り渡し、又は譲り受けてはならない。

 法令による職務の執行につき覚せい剤を譲り渡し、若しくは譲り受ける場合又は覚せい剤研究者が厚生労働大臣の許可を受けて、覚せい剤を譲り渡し、若しくは譲り受ける場合には、前三項の規定は適用しない。

 覚せい剤研究者は、前項の規定により覚せい剤の譲渡又は譲受の許可を受けようとするときは、厚生労働省令の定めるところにより、その研究所の所在地の都道府県知事を経て厚生労働大臣に申請書を出さなければならない。

(昭二九法一七七・平二法三三・平一一法八七・平一一法一六〇・一部改正)

(譲渡証及び譲受証)

第十八条 覚せい剤を譲り渡し、又は譲り受ける場合(覚せい剤施用機関において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者が覚せい剤を施用のため交付する場合を除く。)には、譲渡人は厚生労働省令で定めるところにより作成した譲渡証を、譲受人は厚生労働省令で定めるところにより作成した譲受証を相手方に交付しなければならない。

 前項の譲受人は、同項の規定による譲受証の交付に代えて、政令で定めるところにより、当該相手方の承諾を得て、当該譲受証に記載すべき事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて厚生労働省令で定めるものにより提供することができる。この場合において、当該譲受人は、当該譲受証を交付したものとみなす。

 第一項の譲受証若しくは譲渡証又は前項前段に規定する方法が行われる場合に当該方法において作られる電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて電子計算機による情報処理の用に供されるものとして厚生労働省令で定めるものをいう。以下同じ。)は、当該交付又は提供を受けた者において、当該覚せい剤の譲受又は譲渡の日から二年間、保存しなければならない。

 譲渡証及び譲受証並びに前項に規定する電磁的記録は、第一項又は第二項の規定による場合のほかは、他人に譲り渡してはならない。

(昭二九法一七七・平三法九三・平一一法一六〇・平一二法一二六・一部改正)

(使用の禁止)

第十九条 左の各号に掲げる場合の外は、何人も、覚せい剤を使用してはならない。

 覚せい剤製造業者が製造のため使用する場合

 覚せい剤施用機関において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者が施用する場合

 覚せい剤研究者が研究のため使用する場合

 覚せい剤施用機関において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者から施用のため交付を受けた者が施用する場合

 法令に基いてする行為につき使用する場合

(昭二九法一七七・一部改正)

引用:覚せい剤取締法―厚生労働省

覚せい剤取締法による刑罰

覚せい剤取締法第8章罰則第41条~第44条にかけて、罰則が定められています。

覚せい剤を個人で使用する目的であったか、営利目的であったかによって罰則が異なります。

個人使用の場合 所持・使用・譲渡・譲受 10年以下の懲役
輸入・輸出・製造 1年以上の懲役
営利目的の場合 所持・使用・譲渡・譲受 1年以上の懲役
500万円以下の罰金
輸入・輸出・製造 無期または3年以上の懲役
1,000万円以下の罰金

実際の量刑に関してはかなり幅があり、まずは初犯であるかという事が大きなポイントになります。

覚せい剤は再犯率が非常に高く、再犯であるとかなり重い罰を受けることになるのです。

また、所持量や使用期間などにより、常習性の有無を確認し、どの程度強い依存状態であったかを判断します。

今後再犯の可能性があるかという事も重要です。家族が監督やサポートをしてくれるような環境にある場合は再犯の可能性が低いとみなされ、刑が軽くなる場合もあります。