薬物検査は拒否できるのか?拒否するデメリットは?

薬物検査は、拒否できない場合と、できる場合があります。

警察から要請される薬物検査は拒否できない

例えばあなたが警察官に職務質問を受けたとします。その際に違法薬物の使用を疑われて、尿検査を要請されました。あなたはこれを拒否できるのでしょうか。

結論から述べますと、拒否はできません。拒否する権利はありますが、結果的には強制的に採尿させられます。

あなたが尿検査を拒否し続けると、警察は裁判所から「強制採尿令状」を取得します。この令状を根拠に、強制的に尿検査をすることが可能となります。
強制採尿は、病院で医師が尿道にカテーテルを差し込んで行います。身体的な苦痛に加えて、精神的侮辱も受けることから、多くの場合、強制採尿令状を見せられた時点で、自ら採尿に応じることになります。

このように、警察から要請される薬物検査は、結果的に拒否はできません。

任意の薬物検査は拒否できる

薬物事件が摘発されるニュースを目にする機会が増え、公的機関や民間企業でも自主的に薬物検査を実施するようになりました。
こういった民間による薬物検査の場合は、拒否できるのでしょうか。

厚生労働省の「労働者の個人情報保護に関する行動指針」では、「使用者は、労働者に対するアルコール検査及び薬物検査については、原則として、特別な職業上の必要性があって、本人の明確な同意を得て行う場合を除き、行ってはならない。」とあります。
本人の同意がないにもかかわらず強制的に薬物検査を行うことは、憲法上の人権侵害にあたる可能性が高いです。
よって、日本にはまだ、薬物検査にかかわる法令上の明確な規定がないため、検査を拒否することは可能です。

個人の事例ではありませんが、企業が監督官庁から提案された薬物検査を拒否した例があります。
2013年にJR北海道の運転士が覚せい剤使用で逮捕された際、北海道運輸局がJR北海道の安全管理部門の担当者に対して、約1100人の運転士全員に薬物尿検査の実施を提案しました。しかし、「人権上の問題がある」として担当者が応じませんでした。

企業だけでなく、個人レベルでも、「人権の侵害」を盾に拒否は可能です。
ただし、次に述べるデメリットがあることには、十分な注意が必要です。

【引用元】厚生労働省「労働者の個人情報保護に関する行動指針」
https://www.mhlw.go.jp/www2/kisya/daijin/20001220_01_d/20001220_01_d_shishin.html

薬物検査を拒否した場合のデメリット

「違法薬物を使用していない」と胸を張って言えるのであれば、速やかに薬物検査に応じ、陰性の結果を出し、疑念を晴らそうとするのが自然です。
逆に薬物検査を拒否するということは、何らかのやましさがあるからであり、違法薬物の使用を疑われることは避けられません。

アスリートを対象にしたドーピング検査では、検査を拒否した場合でも「陽性」と判定されます。検査を拒否するということは、薬物使用を認めているに等しいという判断のためです。
陽性判定になると、これまでの成績や記録が取り消され、活動が一定期間できなくなります。種目によっては、チーム全体への制裁が科される場合もあります。

以前、覚せい剤の使用を疑われた芸能人が、薬物を体内から排出するために逃亡するという事件がありました。これも、薬物検査を拒否するための逃避です。逃亡したことで、逮捕・起訴された後に保釈が認められないなどの不利益を被ることになります。

薬物検査に応じる義務はないものの、拒否や逃避をすることにより、違法薬物使用の疑いをかけられるリスクや代償は大きいと考えるべきでしょう。

【引用元】公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構
https://www.playtruejapan.org/code/violation/

どうしても拒否したい場合の賢明な方法

これまで述べてきたように、薬物検査を拒否した場合、薬物の使用を認めていると受け取られるリスクがあります。可能な限り速やかに薬物検査の求めに応じるべきでしょう。
しかし、どうしても検査を拒否したい場合は、弁護士に相談することも可能です。
検査結果が個人情報である以上、検査の目的や情個人報の取扱いについてなど、検査実施者の対応や手続きに不安がある場合は、薬物犯罪に詳しい弁護士に相談するとよいでしょう。のちに不利な展開にならないよう、アドバイスを受けることが可能です。